Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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りんらくのせいしゅん

淪落の青春

坂口 安吾

Leggi 淪落の青春 (りんらくのせいしゅん) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.729 caratteri · 36 schermate

Aozora Bunko

「なんのヤミ? 大ヤミ?」

「イヤ、小ヤミだよ。細々と食うだけのことさ。オレには仲間もなければ、然るべきツテもないから、まア、リュックをかついで汽車で往復する、一番しがないヤミ屋だ。この村に間借りをして、そこを本拠にして、東京と往復してもできるじゃないか。戦争に負けると便利なものだ」

「そうね。わりあい便利な世の中だわね。私もタケノコで一人前にやってのけるのだもの。テイチャンが一人前のヤミ屋になったら、東京でくらすといゝわ。私もそのとき東京へ行って、何かするかも知れない」

「何をするんだ」

「まだ、分らないわ。何か、しなければ、ならないでしょう」

衣子の平然たる笑い顔は、まったく腹のわからない妙なものだった。何をやる気だろう。パンパンをやる気かも知れぬ。それぐらいのことは平然と考えかねないところもあるが、また何か、途方もないデッカイ夢をいだいているようなところもあった。

この村へ疎開している三好光平という文士は衣子が好きな様子で、毎日のように遊びに来て、話しこんで行くが、三十六の光平よりも衣子の方が大人に見える。

光平は風景がどうだとか、情趣がどうだとか、伝統がどうだとか、風味とか、風韻というようなことを言う。