Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんやのしちょう

深夜の市長

海野 十三

Leggi 深夜の市長 (しんやのしちょう) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 109.982 caratteri · 220 schermate

Aozora Bunko

「ハッ承知いたしました」

僕はやっと思い通りに、窓の内部へ転げこむことが出来た。警官も続いて入って来ようとするから僕はそれを止めて、これは極秘の事件だから手を出すな、云うことを聞かんで手を出すと、次席検事の雁金さんに叱られるかもしらんぞと呶鳴りつけ、硝子戸をバタンと降してしまった。僕は至極痛快であった。

勝手知ったる廊下を抜けて、ズンズンゆくと、中庭へ出る扉があった。それを押し開くと、庭が見える。石の階段を踏み外したと思ったら、もう中庭に出た。さあ、輪太郎の怪塔は有りや無しやと仰いで見れば、あったぞ、あったぞ、夜目にも屹然と聳える見覚えある高塔――窓についた灯も、この前見たとおりだった。

僕は塔の根元にある入口の扉に向って歩きだした。気がつくと白く積った雪の上に、誰か歩いた足跡がついていた。誰? 輪太郎が帰って来たのかしら。

僕は苦しい息をつぎつぎ、骨の折れる階段を一歩一歩登っていった。それはジャックが豆の木に攀じのぼるように、長い長い遥かな旅程だった。睡くなって来た。……

気がついてみると、僕はなんだか温いものの上に寝ていた。ヒヤリと冷いものが、額から首筋へ流れた。