Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんやのしちょう

深夜の市長

海野 十三

Leggi 深夜の市長 (しんやのしちょう) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 109.982 caratteri · 220 schermate

Aozora Bunko

「ねえ、りゅうちゃん、たら……」

「ハナ子ッ。そこ離せ!」思わず妙なことを呶鳴ってしまったので、僕はプーッとふきだした。「……しょうがねえ。じゃ今夜はお前の説に服従して、素直に帰るとしよう。……」

「それがいいわ。これで、あたし、お父様に顔が立ちますわ」

警官は行き過ぎながら、なおもこっちを振りかえって見ている。

「……じゃ、歩くのは面倒だ。円タクを奢ろう。オイ、円タク……。幽霊坂のところまで、三貫で行け」

通りすがりの円タクが「旦那、三貫じゃあ」というのを抑えるようにして、

「いつも三貫に決めてあるんだ。ものの、五分間もかからないじゃないか。何だい、あまり慾張るない」

じゃ、行きましょう――と、円タクの助手は扉をあけてくれた。僕はまず少女に先に乗れと合図し、彼女がステップに足をかけたとき、後からお尻を押してやった。そして自分も車内に飛びこんだ。――警官は棒のように突立って見送っていた。

車内では、僕も少女も、まるで黙っていた。僕は少女の身体から発する恥かしいような、香気に噎せびながらこの思いがけない連れを、これからどう取扱ったものかと思案をめぐらせた。