Classici giapponesi con furigana
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せいひんのしょ
清貧の書
林 芙美子
Leggi 清貧の書 (せいひんのしょ) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.061 caratteri · 36 schermate
「だから、召集令状を見たらいいでしょう」
一枚の小さな召集令状が、あっちこっちの紳士諸君の手に渡った。
「不思議だねえ、もいちど探しなおしだ。ところで、他に客は無いだろうね」
枳の門の外には、白い小型の自動車が待っていた。仕入れに行く魚屋や、新聞配達等が覗いている。
「チェッ、何のために月給貰っているンだ。おいッ! 加奈代、塩を撒いてやれ」
「だって、塩がないのよ」
「塩が無かったら泥だっていいじゃないかッ、泥が無かったら、石油でもブッかけろ」
「こんなに家中無断で引掻きまわして、済みませんなンて云わないッ」
「云うもンか……あンなのを見ると、食えないで焦々しているところだ、赤くなりたくもなるさ」
「小さい頃、私の義父さんも、路傍に店を出して、よく巡査にビンタ殴られていたけれど――全く、これより以上私達にどうしろって云うのかしら?」
十
上野の博覧会の仕事もあと二三日で終ると云う夕方、与一は頭中を繃帯で巻いて帰って来た。
「八方塞りかね。オイー! 暑いせいか焦々して喧嘩しちまったよ」
「誰とさア」
「なまじっか油絵の具を捏ねた者は、変な気障さがあって困るって、ペンキ屋同士が云ってるだろう、だから、僕の事なンですか、僕の事なら僕へはっきり云って下さいって、云ってやったンだ。