Classici giapponesi con furigana
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せいひんのしょ
清貧の書
林 芙美子
Leggi 清貧の書 (せいひんのしょ) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.061 caratteri · 36 schermate
暗雲にヒッパクした故郷からの手紙だ。
――それで、おまえが、なんとかなれば七円ほど、くめんをして、しきゅう、たのむ、おとっさんも、いたか、いたか、きってくれ、いいよんなはる。せきたんさんで、あらいよっとじゃが、びょういんにいったほうが、よかあんばいのごとある。
私は夕飯の済んだ後、与一に故郷からの手紙を見せようと思った。与一は何か考えているのであろう、何となく淋しそうに窓に凭れて唄をうたっていた。その唄の節はひどく秋めいた、憂愁のこもったものであった。私は何度となく熱い茶を啜りながら、手紙を出す機会を狙っていたが、与一はいつまでもその淋し気な唄を止めなかった。
十一
沈黙って故郷へは送金しよう、――私はそう思って毎日与一の額の繃帯を巻いてやった。
「ちょっとした怪我でも痛いンだから、これで腕や脚を切断するとなると、どんなでしょう?」
「それはもう人生の終りだよ、俺だったら自殺する」
「働かないとなると、生きていても仕様がないからね……」
与一が、山の聯隊へ出発した日は、空気が灰色になるほど風が激しかった。「まるで春のようだ、気持ちの悪い風だ」誰もそういいながら停車場に集った。