Classici giapponesi con furigana
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とせんば
渡舟場
豊島 与志雄
Leggi 渡舟場 (とせんば) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.509 caratteri · 24 schermate
口実である以上、他に理由があったに違いありません。
川原一家の者が立ち去ったあと、人々は各自の行動を取りました。岩田元彦は河縁を逍遙しました。岩田芳江は晩の煮物にかかりました。手伝いに来ている小松屋の加代子は、食器類を洗いました。中村佳吉は薪を割りました。彼はなにかしら薪割りに快味を覚えているようでした。岩田八重子は風呂の火を焚きました。
風呂の火は、どうしたことか、よく燃えないで燻りました。それを煽ぎながら、岩田八重子は涙ぐんでいました。煙が眼にしみるせいばかりでなく、心で泣いているようでした。実際、彼女は悲しい思いをしていました。
――私はどうしてこう涙もろくなってしまったのかしら。ちょっとしたことにも涙ぐんでしまう。その涙を人に見せまいとする思いだけで、もう涙が出てくる。こんなではいけないと思うだけでも、やはり涙ぐんでしまう。
いつぞや、兄さんが板チョコを二枚持って来て、そっと私に下すった。私はお礼の言葉も言えないで、俯向いてしまった。それから、人のいないところで、その一枚をお母さんに上げたが、ろくにお母さんの顔も見ないで、私は俯向いてしまった。