Classici giapponesi con furigana
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わたらせがわ
渡良瀬川
大鹿 卓
Leggi 渡良瀬川 (わたらせがわ) di 大鹿 卓 (おおしかたく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 280.528 caratteri · 557 schermate
騒々しい雨音のなかにいても、川全体が胴ぶるいして底鳴りしているのが聴えた。
「七月のときと水嵩はどうだろう」正造は栗原へ蓑をすりつけてたずねた。
「これで一丈は増水しています。この分だとまだまだ増えます。私も昼頃から何回となく気にして見にきたのですが、上流の足利あたりでよほど浸水家屋があるらしく、いろいろな物が流れて来ます。おそらく七月の洪水どころじゃないでしょう」
「うん」と正造は唸ってまた川面を見つめ、「水勢が凄じい、おそろしいようだ」
「確かに水勢が速くなりました。昔は足尾、庚申、古峰ヶ原といった山々に大雨があってから、この辺に洪水の寄せてくるのは一昼夜かかったといいますが、この頃は六時間で来るようです。水源地方と途中の両岸の草木が枯れて障るものがなくなったのと、土砂で川床が埋ったせいだと思います」
「なるほど、堤防が切れるわけだ。川下で水防の準備もできないうちに水が一時にやってくる。コップの水でも、一時にぐッと飲めば咽せるのと同じ理窟だ」
二人が雨中に突立って話し合っている間にも、彼等のうしろの堤内地の稲田が次第々々に濁水に浸されだした。渡良瀬の増水につれて、その水が菊沢川へ逆流してあふれだしたのである。