Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おんせんだより

温泉だより

芥川 竜之介

Leggi 温泉だより (おんせんだより) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6095 caratteri · 13 schermate

Aozora Bunko

「じゃそのお松と言う女はどうしたんです?」

「お松ですか? お松は半之丞の子を生んでから、……」

「しかしお松の生んだ子はほんとうに半之丞の子だったんですか?」

「やっぱり半之丞の子だったですな。瓜二つと言っても好かったですから。」

「そうしてそのお松と言う女は?」

「お松は「い」の字と言う酒屋に嫁に行ったです。」

熱心になっていた「な」の字さんは多少失望したらしい顔をした。

「半之丞の子は?」

「連れっ子をして行ったです。その子供がまたチブスになって、……」

「死んだんですか?」

「いいや、子供は助かった代りに看病したお松が患いついたです。もう死んで十年になるですが、……」

「やっぱりチブスで?」

「チブスじゃないです。医者は何とか言っていたですが、まあ看病疲れですな。」

ちょうどその時我々は郵便局の前に出ていました。小さい日本建の郵便局の前には若楓が枝を伸ばしています。その枝に半ば遮られた、埃だらけの硝子窓の中にはずんぐりした小倉服の青年が一人、事務を執っているのが見えました。

「あれですよ。半之丞の子と言うのは。」

「な」の字さんもわたしも足を止めながら、思わず窓の中を覗きこみました。