Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ゆなのたましい

湯女の魂

泉 鏡花

Leggi 湯女の魂 (ゆなのたましい) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 27.936 caratteri · 55 schermate

Aozora Bunko

茶店の裏手は遠近の山また山の山続きで、その日の静かなる海面よりも、一層かえって高波を蜿らしているようでありました。

小宮山は、快く草臥を休めましたが、何か思う処あるらしく、この茶屋の亭主を呼んで、

「御亭主、少し聞きたい事があるんだが。」

「へい、お客様、何でござりますな。

氷見鯖の塩味、放生津鱈の善悪、糸魚川の流れ塩梅、五智の如来へ海豚が参詣を致しまする様子、その鳴声、もそっと遠くは、越後の八百八後家の因縁でも、信濃川の橋の間数でも、何でも存じておりますから、はははは。」

と片肌脱、身も軽いが、口も軽い。小宮山も莞爾して、

「折角だがね、まずそれを聞くのじゃなかったよ。」

「それはお生憎様でござりまするな。」

何が生憎。

「私の聞きたいのは、ここに小川の温泉と云うのがあるッて、その事なんだがどうだね。」

「ええ、ござりますとも、人足も通いませぬ山の中で、雪の降る時白鷺が一羽、疵所を浸しておりましたのを、狩人の見附けましたのが始りで、ついこの八九年前から開けました。一体、この泊のある財産家の持地でござりますので、仮の小屋掛で近在の者へ施し半分に遣っておりました処、さあ、盲目が開く、躄が立つ、子供が産れる、乳が出る、大した効能。