Classici giapponesi con furigana
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たきぐち
滝口
山本 周五郎
Leggi 滝口 (たきぐち) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 49.815 caratteri · 99 schermate
「どっちもあんまりみごとなものでしたから、それに久しくおみえにならないし、どうしていらっしゃるかと思って」そしていつもの媚のある眼をして云った、「――もしわるくなかったら、ちょっとお台所でなにか作ってみましょうか」
「せっかくだが」と安宅は答えた、「今日は寺で法事があるから、まもなくでかけなければならないんだ」
おりうはじっと彼の眼をみつめた、「怒っていらっしゃるの」
「死んだ女房の法事なんだ」
「あたしのこと、なにかお聞きになったんでしょ」おりうは安宅の言葉を遮って問いつめた、「きっとそうなのよ、あたしにはどんな陰口をお聞きになったか、およそ見当がついてます、だから衣笠へもいらっしゃらないんでしょ」
縁側のほうから、若い家士の栗原が茶菓の盆を持ってはいって来、益村の脇へそれを置くと、おりうに会釈して去った。おりうはすり寄って盆を引きよせ、茶を淹れて安宅にすすめた。
「昔こんなことがあった」と安宅は茶碗を取りながら云いだした、「――まだ少年のころだったが、好きな娘ができてね」
ちょうどあの庭のうしろに、その娘の家があった、と彼は手をあげて指さしながら、岡野さえとのいきさつを語った。