Classici giapponesi con furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Leggi 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 132.395 caratteri · 263 schermate
人の形というものには、一種云うに云われぬ不思議な力がある。
どんな闇のなかでも、どこからか、光をとってきて、形を現わすものだ。巡査は曳船に向って、たまらなくなったような叫び声をあげた。
「オーイ、舟を停めろ、水死人だぞ、停めろ、聴えないか、オーイ、停めんかと云うに……」
しかし、それは風の音、機関の響に消されて聴えなかった。と、続いてそこには、まさに、見る眼を覆わしめるような、およそ現実の怪奇としては極端かとも思われる――それは、血を与え肉を授けた地獄絵の様なのであった。
水は、涯しのない螺旋のように逆巻いて、その、顔もさだかでない、屍体を弄びはじめた。もくもくと湧き出す血が、海藻のような帯を引き、ちらりと緑色に髪の毛のようなものが見えたかと思うと、屍体は、激しいうねりを立てて水底に沈んでゆく。
すると血の帯に、見るも悽惨な渦が捲き起って、いくつとなく真赤な螺旋のようなものが直立してゆくのだ。
それは、血の怖れというよりも、むしろ慄っとするような美しさで、ちりちり尾を捲く暗緋の糸のようなものが、下へゆくほど太まり溶け拡がっていて、ちょうどそれは、触手を上向けた紅水母のようであった。