Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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せんこうてい「ハビヒツブルグ」

潜航艇「鷹の城」

小栗 虫太郎

Leggi 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 132.395 caratteri · 263 schermate

Aozora Bunko

では、その名を打ち明けて下さいましな――ああ誰なんでしょうね。またその男が、貴方は、どこから来るとおっしゃるんですの」

「その名は、まだ不幸にして指摘する時機には達しておりません。しかし、その男の出現には、れっきとした証拠があがっているのです。夫人、実は彼方からなんですよ」

と沈痛な眉をあげて、法水は顎を背後にしゃくった。

「海からです。その男は、毎夜海から上がって来て、あの防堤のあたりを彷徨い歩くのです。ですが夫人、けっして僕は幻影を見ているのじゃありませんよ。それには、暗喩も誇張もありません。修辞はいっさい抜きにして、僕はただ厳然たる事実のみを申し上げているのです。たぶん、明日の夜の払暁には、その姿を、防堤の上で御覧になるでしょう」

「なに、海から……毎夜海から上がって、裏の防堤に来る……」と顎骨をガクガク鳴らせながら、検事は頭の頂辺まで痺れゆくのを感じた。

そして、われ知らず防堤の方を見やるのであったが、どうしたことか、肝腎のウルリーケには、なんの変化も現われてはこない。

彼女の胸は、ふんわりと気息いていて、その深々とした落着きは、波紋をうけつけぬ隠沼のように思えた。