Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かやくせん

火薬船

海野 十三

Leggi 火薬船 (かやくせん) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 61.552 caratteri · 124 schermate

Aozora Bunko

なぜ、そんなことを」

「さあ、すぐ抜錨しないと危険です。一秒を争います。さあ、命令を……」

「おお、この事かなあ、さっきからの、わしのむなさわぎは!」

一等運転士は、やっと、自分のむなさわぎに関係をつけ、すぐさま船長のところへ、おどりこんだ。

「大至急、抜錨。総員、部署につけ!」

「な、なんだって!」

総員といっても、集まってきたのは、たった七人だった。七人で、抜錨ができるか。でも、大至急、それをやる命令が、一等運転士によって発せられた。

虎船長は、かつがれて、船橋へ。すべて非常時のかまえだった。

汽缶には、すぐさま石炭が放りこまれた。間もなく蒸気は、ぐんぐん威力をあげていった。

「避難演習かね、これは」

「だまって、はやくやれ! 本物なんだぞ」

「気はたしかかね」

「お前、死にたくないのなら、黙って、命ぜられたとおりやれ!」

水夫竹見は、ハルクを信じていた。だから、この大切な平靖号を、一秒も早く港外にうつさないと、取りかえしのつかぬことが起ることを信じていたのだ。その一大事が、どんな形で現われるか、そんなことを考えている暇は、今の彼にはなかった。瀕死のハルクが、平靖号の甲板へ、血染めの水兵ナイフをなげこんでいったというそのことが、いかに驚異的であるか、それが分れば、まっしぐらにハルクの忠言に従うよりほかなかったのであっ