Classici giapponesi con furigana
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からすうりのはなとが
烏瓜の花と蛾
寺田 寅彦
Leggi 烏瓜の花と蛾 (からすうりのはなとが) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 8472 caratteri · 17 schermate
テニスの上手な来客でもこの羽根の生えたボールでは少し見当が違うらしい。婦人の中には特にこの蛾をいやがりこわがる人が多いようである。今から三十五年の昔のことであるが或る田舎の退役軍人の家で大事の一人息子に才色兼備の嫁を貰った。ところが、その家の庭に咲き誇った夕顔をせせりに来る蛾の群が時々この芳紀二八の花嫁をからかいに来る、その度に花嫁がたまぎるような悲鳴を上げてこわがるので、息子思いの父親はその次の年から断然夕顔の裁培を中止したという実例があるくらいである。この花嫁は実際夕顔の花のような感じのする女であったが、それからわずか数年の後亡くなった。この花嫁の花婿であったところの老学者の記憶には夕顔の花と蛾とにまつわる美しくも悲しい夢幻の世界が残っている。そう云って彼は私に囁くのである。私には彼女がむしろ烏瓜の花のように果敢ない存在であったように思われるのである。
大きな蛾の複眼に或る適当な角度で光を当てて見ると気味の悪いように赤い、燐光に類した光を発するのがある。何となく物凄い感じのするものである。昔西洋の雑誌小説で蛾のお化けの出るのを読んだことがあるが、この眼玉の光には実際多少の妖怪味と云ったようなものを帯びている。