Classici giapponesi con furigana
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むけいとうコレラ
無系統虎列剌
夢野 久作
Leggi 無系統虎列剌 (むけいとうコレラ) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7738 caratteri · 16 schermate
あれで人家が二百戸ぐらい在るかなあ。
あの町の中央の警察署の隣家に斎藤という、長い天神髯を生やした開業医がある。年はもう六十近かったがナカナカ人格者という評判でね。五十ぐらいの奥さんと二十五六の一人息子の三人暮しだ。この一人息子は当大学出身の医学士で、M内科の副手になって論文を書いている秀才……という訳だ。
その天神髯の斎藤さんの飲み友達で、町外れの一軒屋に開業している西木という独身の獣医が在る。その娘で去年女学校を出たばかりの才媛……だったか、どうだか知らないが、とにかくステキな別嬪さんと、斎藤さんの息子の医学士と、早くから婚約が出来ていたんだね。博士になったら帰って来て父の業を継ぐ。同時に正式に結婚するという訳でね。よくある話だ。
ところが去年の夏だ。六月だっけか暑い晩に、天神髯の斎藤さんが、親友の西木獣医の処へ押しかけて行って、娘さんのお酌で酒を飲んだ。鰯のヌタに蒲鉾が肴だったというが、二人とも長酒で、そんな場合はいつも徹宵飲み明かすのが習慣だったので、娘さんは肴に心配をして近所の乾物屋から干鰯を買って準備していたというね。
ところがその晩に限ってどうしたものか二人とも、宵の口から口論を初めて、十一時頃にはモウ寝てしまった。