Classici giapponesi con furigana
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むだい
無題
宮本 百合子
Leggi 無題 (むだい) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5172 caratteri · 11 schermate
その薫り、その故国の気分――。海を遙かに隔てて、他国の土の上に居る私は、遠く何時かの前に別れを告げた筈の故国に、今図らずもめぐり会った。今、私は故国の上に棲んで居るのではない。故国が、いとしい「我が土が」、私の此の、心の中に此の魂の中に生きて居るのを見出したのである。
私はどんなに深くいとしく、故国を思い遣る事だろう、どんなに懐かしく「私達の言葉」に聴き惚れる事だろう。
我土よ! 我が声よ!
私の家と云うのでもない。私の知人と云うのでもない。私の生れた土の持つ限りない「気分」が、我が故国よ! と云う一つの憧れになるのである。
生れて口が利けるように成って此方、私は随分沢山種々な事を喋った。善い事も、悪い事も――。けれども、嘗て今日程、自分が絶えず喋って居る「自分達の言葉」に感動したことがあるだろうか、此程、国語と云うものが、如何程強い根を持った「国語」であることを感じた事が、只の一度でもあるだろうか。
勿論私は如何程感心したからと云って、自分達の国語が、人類の持ち得る最上のもの――完全無欠で、最も理想的なものだとは思って居ない。
日本語は、確かに科学的表現の確実さ正確さは欠いて居る。