Classici giapponesi con furigana
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ぼんのうひぶんしょ
煩悩秘文書
林 不忘
Leggi 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.705 caratteri · 173 schermate
すると、この時だ。
一ぽんの路を下りてくる多人数の跫音。
手拭いをぶら提げた丸腰の侍たちで、だいぶ前から藤屋の下座敷に陣取って、連日連夜騒いでいる連中である。
わるいところへ悪いやつらが――とは思ったが、すっとすれ違おうとすると、まっ先に立った一人が、藤屋とあるぶらぶら提灯を千浪の顔へ突きつけて、
「いよう! べっぴん! や、磨いた、みがいた。」
ぷんと酒の香がする。
「惜しいことをしたわい。もう一足早ければ、これなる菩薩のお臍が拝めたものを。わっはっは。」
また、ひとりが、
「いや、じつに尤物! 拙者は、送り狼の役を買って藤屋まで引っ返そう。」
下婢た笑いと揶揄のなかを、耳を覆った気で潜りぬけ、やっと藤屋へ走りこんだ千浪が、裾をおさえて梯子段を駈け上って、二階の部屋の障子をひらくと――。
「長湯じゃったな。いま見させにやろうかと思っておったところじゃ。」
高弟の伴大次郎と何か話しこんでいた父、法外が、しずかに首を向けて千浪を見上げた。
大次郎は、女とも見まごう整った顔に、若わかしい笑みを浮かべて、
「いま階下の連中が、大騒ぎして湯へ下りて行きましたが、そこらでお会いになりませんでしたか。