Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Leggi 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.705 caratteri · 173 schermate

Aozora Bunko

「どうじゃな。わしがはいっても大事ないか。」

すると千浪はにっこりして、

「ええ、刀を突き刺すように見せかけるだけで、ほんとに刺すのではございませんから、誰がはいってもたいしたことはございません。」

そうだろうと出羽守は頷いて、

「それで、わしが中へはいるとして、刀を刺すのは誰かな。」

「ほほほほ。私がやりますけれど、今も申したとおり、ほんとに刺すんではございませんから、御安心遊ばして。」

もし、出羽守が思っているとおりに、彼女がこの出羽を大次郎と信じているならば、こんな説明的なことは言わないはず。が、出羽はそれには気がつかなかった。

「それでは、おれがはいるから、うまくやってくれ。」

と千浪へ囁いて、祖父江出羽守は、その赤い駕籠の中へ円く背を屈めて坐り込んだのである。

千浪はにっこり微笑んで、垂れを下ろす。群集は、今は鳴りをひそめて見守っている。

「どなたかこの綱で、駕籠をおしばり下さいまし。」

そう言った千浪の声を待たずに、ばらばらとそこへ飛び出したのは、これもかねての手筈によって、佐吉、宗七、由公、お多喜の四人である。

「こん畜生!」

などと低声に呟きながら、ぎりぎりに綱を掛けて縛ってしまう。