Classici giapponesi con furigana
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ぼんのうひぶんしょ
煩悩秘文書
林 不忘
Leggi 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.705 caratteri · 173 schermate
猿の湯にいる江戸ものらしい女――千浪さまにきまっている!
「あの江上めが今は文珠屋と名乗って――うむ! こうしてはおられぬ。宗七、また七年後にここで、会おうぞ。」
叫んだ大次郎、愛する千浪の危急を知って、いっさんにその三角形の山頂を駈け下り出した。ぼんやり呆気に取られて後見送っている宗七を残して――三里の下りを阿弥陀沢の藤屋へ。
言いだしたらきかぬ江上佐助の気性、これはただごとでは納まるまいと、大次、走りながら、腰の女髪兼安の柄を叩いて、ぶつり、鯉口を切った。
きらり! 鯉ぐち三寸、銀蛇のごとくきらめいて、眼を射る。そこに、何の焼刃のみだれか、一ぽん女の毛が纏わりついたと見える鍛え疵。
阿波の右近三郎打ち上げるところの女髪兼安。
ゆうべ出がけに此刀を渡すとき、法外先生が言った――「くれぐれも言っておくが、大次、けっしてこの刀を抜いてはならぬぞ、抜けば血を見る。擾乱を呼ぶ。刃元にうかぶ一線の乱れ焼刃。女髪剣、必ずともに、その女髪に心惹かれて、戯れにも鯉口を押し拡げるでないぞ。よいか。」
その女髪兼安を伴大次郎、いま抜きかけて、ぱちんと鞘へ返したが。