Classici giapponesi con furigana
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ちちかえる
父帰る
菊池 寛
Leggi 父帰る (ちちかえる) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7615 caratteri · 16 schermate
父 そら何より結構なことや。わしも、四、五年前までは、人の二、三十人も連れて、ずうと巡業して回っとったんやけどもな。呉で見世物小屋が丸焼になったために、えらい損害を受けてな。それからは何をしても思わしくないわ。その内に老先が短くなってくる、女房子のいる所が恋しゅうなってうかうかと帰って来たんや。老先の長いこともない者やけに皆よう頼むぜ。(賢一郎を注視して)さあ賢一郎! その杯を一つさしてくれんか、お父さんも近頃はええ酒も飲めんでのう。うん、お前だけは顔に見おぼえがあるわ。(賢一郎応ぜず)
母 さあ、賢や、お父さんが、ああおっしゃるんやけに。さあ、久し振りに親子が会うんじゃけに祝うてな。
(賢一郎応ぜず)
父 じゃ、新二郎、お前一つ、杯をくれえ。
新二郎 はあ。(杯を取り上げて父にささんとす)
賢一郎 (決然として)止めとけ。さすわけはない。
母 何をいうんや、賢は。
(父親、激しい目にて賢一郎を睨んでいる。新二郎もおたねも下を向いて黙っている)
賢一郎 (昂然と)僕たちに父親があるわけはない。そんなものがあるもんか。
父 (激しき憤怒を抑えながら)なんやと!