Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

うしをつないだつばきのき

牛をつないだ椿の木

新美 南吉

Leggi 牛をつないだ椿の木 (うしをつないだつばきのき) di Niimi Nankichi (新美 南吉) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9096 caratteri · 19 schermate

Aozora Bunko

「あんたは、また来ましたね。親父はまだ生きていますよ。」

と、出て来た息子さんがいいました。

「いえ、わしは、親父さんが生きておいでのうちに、ぜひおあいしたいので。」

と、海蔵さんはいいました。

老人はやつれて寝ていました。海蔵さんは枕もとに両手をついて、

「わしは、あやまりに参りました。昨日、わしはここから帰るとき、息子さんから、あなたが死ねば息子さんが井戸を許してくれるときいて、悪い心になりました。もうじき、あなたが死ぬからいいなどと、恐ろしいことを平気で思っていました。つまり、わしはじぶんの井戸のことばかり考えて、あなたの死ぬことを待ちねがうというような、鬼にもひとしい心になりました。そこで、わしは、あやまりに参りました。井戸のことは、もうお願いしません。またどこか、ほかの場所をさがすとします。ですから、あなたはどうぞ、死なないで下さい。」

と、いいました。

老人は黙ってきいていました。それから長いあいだ黙って海蔵さんの顔を見上げていました。

「お前さんは、感心なおひとじゃ。」

と、老人はやっと口を切っていいました。

「お前さんは、心のええおひとじゃ、わしは長い生涯じぶんの慾ばかりで、ひとのことなどちっとも思わずに生きて来たが、いまはじめてお前さんのりっぱな心にうごかされた。