Classici giapponesi con furigana
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ぎゅうにくとばれいしょ
牛肉と馬鈴薯・酒中日記
国木田 独歩
Leggi 牛肉と馬鈴薯・酒中日記 (ぎゅうにくとばれいしょ) di 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 54.018 caratteri · 109 schermate
と言い放って口惜し涙を流すところだが、お政にはそれが出来ない。母から厭味や皮肉を言われて泣いたのは唯だ悲くって泣いたので、自分が優しく慰さむれば心も次第に静まり、別に文句は無いのである。
ところで母は百円盗んで帰った。自分は今これを冷やかに書くが、机の抽斗を開けてみて百円の紙包が紛失しているのを知った時は「オヤ!」と叫けんだきり容易に二の句が出なかった。
「お前この抽斗を開けや為なかったか」
「否」
「だって先刻入れて置いた寄附金の包みが見えないよ」
「まア!」と言って妻は真蒼になった。自分は狼狽て二の抽斗を抽き放って中を一々験ためたけれど無いものは無い。
「先刻母上さんが置手紙を書くってお開けになりましたよ!」
「そうだ!」と自分は膝を拍った時、頭から水を浴たよう。崕を蹈外そうとした刹那の心持。
自分は暫らく茫然として机の抽斗を眺めていたが、我知らず涙が頬をつとうて流れる。
「余り酷すぎる」と一語僅かに洩し得たばかり。妻は涙の泉も涸たか唯だ自分の顔を見て血の気のない唇をわなわなと戦わしている。
「じゃア母上さんが……」と言いかけるのを自分は手を振って打消し、
「黙っておいで、黙っておいで」