Classici giapponesi con furigana
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こぶ
犬田卯短編集 一
犬田 卯
Leggi 犬田卯短編集 一 (こぶ) di 犬田 卯 (いぬたしげる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.259 caratteri · 96 schermate
……」それは前の日、干しならべた小麦束の中でおちえから教えられた一節だった。そして
「きょうは、はァ、おまんましか何にも食べるんでねえど」と母親にしつこく念を押されると、
「う、ヨチ子、なんにも食べねえ……」
眼を伏せて、さすがに神妙な顔つきをする。
ところで今日は、いよいよ植付ができる段取りだった。あとから起き出して、もぞもぞ朝飯を終えた浩平が、
「俺は肥料を受取って来なけりゃならねえから、お前らさきに出かけていろな」と誰の顔も見ないで言った。
そこには何か魂胆がありそうだった。おせきの胸にそれがはっと応えた。もっともそれは彼女にとって前夜来のまだ解けぬこだわりの故だったかも知れぬ。何となれば浩平は、おせきがいくら訊ねても肥料のことについては深く言わず、触れられることを嫌うので、反対におせきはますます追求せざるを得なかったのである。産組からは、穂が出てしまった頃しかやって来まい、勢い他で手に入れなければ、おめおめと素田を植えなければならぬ。そんな分りきった理窟ばかりこねていて、肝心の塚屋のことを少しも口にせず、ただ、とにかく十五貫入りの配合を十五叺だけ都合できたから、明日は植付だ、植付だ。