Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こぶ

犬田卯短編集 一

犬田 卯

Leggi 犬田卯短編集 一 (こぶ) di 犬田 卯 (いぬたしげる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 48.259 caratteri · 96 schermate

Aozora Bunko

」

おせきは近所に聞えるのを恐れてそれ以上言わなかったが……

そうしているうちに、とうとう調査の日がやって来てしまった。が、彼女はその前日から覚悟をきめたようだった。土間の隅に積んであるいろいろながらくたや、古俵、叺……そんなものをきちんと整理して、それから軒下の方までおさよと勝に掃除をさせ、浩平が野良へ出てしまったあと、自分で、調査員のやって来るのを待っていた。

昼近い頃、村長と巡査、農会の書記、それからこの部落の区長とが、ぞろぞろと門口を入って来た。

土間から軒下へ出て一行を迎えたおせきは、丁寧に被っていた手拭をとって、

「これはまア、本日はご苦労さんでございます」と改まった東京風の言葉で挨拶した。

「いい日だなア。」

区長が半白の頭を見せてそれに答え、それから一行のものは、あるいは軒下に立ち、あるいは土間へ入って来て、じろじろとあたりを見廻した。おせきは少々上り気味で、誰と誰がどこに突っ立っていて、誰が米俵の方を注視していたか、そのときは識別しなかったが、あとで考えると、「米は何俵あったかね」と訊ねて、俵の方へ近づいたのは農会の書記――見知らぬ若者だったと思った。