Classici giapponesi con furigana
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いちろうじん
犬田卯短編集二
犬田 卯
Leggi 犬田卯短編集二 (いちろうじん) di 犬田 卯 (いぬたしげる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.383 caratteri · 103 schermate
アンチモンと言ったって、君らにはナンチモンか分るまいが、とにかくこれから非常に国家的に有用な鉱物資源なんだ。そいつを大々的にやるんで、どしどし工場や住宅を建築するんだが、あんな君の部落のような山の中腹のつまらない所で一生涯ぴいぴいして土いじりをしているより、どうだい、俺の事業へやって来ねえか。――そして、うんと金をもうけてさ。な、そうしたまえ。なに、親、女房、子供? そりゃ君、それらなりに仕事があるよ。ぜひやって来たまえ。馬車を持っているんなら一日五円にはなるぜ。」
そして、儀作にはかまわず、運転手を促して、すうっと雪景色の中へ行ってしまった。
儀作は歯ざれのいいその弁舌――その快調にすっかり酔わされたように、しばし茫然として自動車を見送っていたが、やがて独語した。――あの分ならなんとかなる。
三
儀作は数日おいて再び古谷邸を訪ねた。若旦那と弁護士との間になんらかの話し合いがついている頃と考えたからである。それに毎週金曜日に東京から出張してくるはずだときいた当の弁護士、博士、何某なる人物とも、ぜひ一度は遇って、あの差し紙を撤回してもらわなければ物騒で、一日として安心してはいられないからでもあった。