Classici giapponesi con furigana
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いちろうじん
犬田卯短編集二
犬田 卯
Leggi 犬田卯短編集二 (いちろうじん) di 犬田 卯 (いぬたしげる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.383 caratteri · 103 schermate
S部落の自作農Rがまた「上げ」られた。今度こそ慣例の「もらい下げ」も利くまいし、親戚・縁者とて、またしても歎願運動を起すようなことも出来まい。なんとなれば彼らはつい三ヵ月ばかり前、村の「有力者」に頼んで、すでに三十何件かのコソ泥を自白した彼を「晴天白日」の身にしてやったばかりである。そしてR自身、そのために金一封、五百円ばかりを使ったばかりである。
そのRが全く「性懲りもなく」俗に相田屋で通っている一農家――もとここは宿場であった関係上、当時は何か商売をしていたのでそう呼ばれているのであろうが、現在は交通関係の変遷で、多くのそうした家のように百姓をしている――へ忍び込んで、上り框に据えられた時代ものの長火鉢の曳出しを、またしてもねらったのであった。
彼は俗用のためしばしば出入りするこの隣人の家の、小金の有り所をいつの間にか知っていたのである。もっともまとまった金など、どこの農家も同じこと、この家にもありようはずはない。時によっては十銭玉一つ入っていないようなことも稀ではないぼろ財布なのだ。
しかし十銭玉一つであろうが、一銭銅貨一枚であろうが、とにかく「塵一本」