Classici giapponesi con furigana
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いちろうじん
犬田卯短編集二
犬田 卯
Leggi 犬田卯短編集二 (いちろうじん) di 犬田 卯 (いぬたしげる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.383 caratteri · 103 schermate
「あんな奴にでも連れ添う女はあるもんかな。」
妾の四五人も抱えているはずのAも、村人にかかっては堪らない。さっそくもとの一流れ者の小忰に還元されてしまい、横目でにらんでふふんとやられてしまった。
しかしそれはとにかく、Aはいっこう平気で、沼岸の一農家の、空いている古い隠居家を借りて、そこへ世帯を持ったのであった。彼はなんらきまった職もないらしく、毎日沼岸の丘の上から天空を眺めて日を送っていた。女房が一人で袋張りをしたり、子供の玩具の風船をこしらえたりしていた。彼女はまだ三十そこそこらしく、都会の裏町で育った多くの女性達のように色もなくやせて、口ばかりが達者だった。
村人はこの一家に警戒の眼を光らした。強盗殺人……などという凄い罪名が背中に書かれている人間など、どうして村へ入れたのだったろうか?
しかしながら数ヵ月過ぎても、村にはなんらの被害もなかったし、それからまた心配していたような風体の悪い人間が、Aをたずねて来るというようなこともないのであった。
「奴は改心したのかな。」
女房の口から漏れたところによると、A一家は東京の下谷とかで何か商売をしていたということだった。