Classici giapponesi con furigana
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さるとびさすけ
猿飛佐助
織田 作之助
Leggi 猿飛佐助 (さるとびさすけ) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.413 caratteri · 60 schermate
坊主はかんかんになって、起ち上った。
「あはは……。薬鑵頭から湯気が出ているとは、はてさて茶漬けの用意でござるか。ても手廻しのよい」
「黙れ!」
坊主は真槍をしごくと、
「――えい!」
と、佐助の胸をめがけて、突き出した。
途端に、佐助の姿は消えていた。
「やや、こ奴魔法つかいか。いきなり見えなくなったとは、面妖な」
と坊主は驚いたが、すぐカラカラと笑うと、
「いやそうではあるまい。大方、愚僧の槍に突かれて、猿沢の池あたりまで吹っ飛んでしまったのであろう。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、万物逝いて復らず、人生流転、生者必滅、色即是空!」
どうも修業の足りぬ坊主と見えて、しどろもどろの念仏を唱えているところを、佐助は宙に浮いたまま鉄扇でしたたか敲くと、
「参った!」
佐助はドロドロと姿を現わして、
「失礼仕った!」
「やや、こ奴!」
「あはは……。お手前の眼から出た火で、薬鑵頭の湯気が煮え立っておるところを見れば、茶の用意も整ったと見えた。――どれ、茶漬けの馳走にあずかりましょうかな」
宝蔵院漬けの茶漬けに味をしめた佐助は、その日の昼食を、奈良から一足飛びに飛んだ京の都、今出川畔、当時洛中に噂の高い、その名も富田無敵という男の道場で、したためた。