Classici giapponesi con furigana
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さるとびさすけ
猿飛佐助
織田 作之助
Leggi 猿飛佐助 (さるとびさすけ) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.413 caratteri · 60 schermate
と叫んだが、もう師匠の声は聴えなかった。
「たった一度、お姿をお現わし下さいませ! なつかしいお顔を見せて下さりませ。先生! 先生!」
しかし、遂に白雲斎は姿を見せなかった。それは師の鞭のきびしさの故か、それとも、いつぞやの鼻血騒ぎの見苦しさを恥じて、生涯佐助に顔を見せまいと誓っていた故だろうか。
佐助は呆然として、尻餠を突いていた。
術を破られたことよりも、封じられたことよりも、増長傲慢だと、日頃の自惚れを指摘されたことが辛く、
「ああ、俺はだめだ」
と、にわかに自信をなくし、すっかり自尊心を失いながら、とぼとぼと山を降り、やがて、鈴鹿峠の麓の茶店へ腰を下すと、
「お茶を一杯下さい」
ひどく心細い声で言った。
「お侍様は、この峠をお越しになられるのですか」
その声を掛けた茶店の女の顔は、一寸美しかった。
美しい女にアバタ面を見られるのは辛い。いつもの佐助なら、直ちに忍術で姿を消したところだが、術は封じられている。
それを悲しみながら、しかし佐助はさすがに気取った口調を忘れず、
「来し(越し)は夢の夢の夢のまた夢、昨日は今日のはつ昔、旅の衣は鈴鹿の峠を越す(乾す)も乾さぬも、雨次第じゃが、どうやら、今宵は降りそうじゃな」