Classici giapponesi con furigana
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さるとびさすけ
猿飛佐助
織田 作之助
Leggi 猿飛佐助 (さるとびさすけ) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.413 caratteri · 60 schermate
「何をそのように黙っておられます」
「余りのことに言葉も出なかったのじゃ。思いも掛けぬそなたとの対面、牢屋の中とは面目ないが、この暗闇がアバタの俺を隠してくれたとは、もっけの幸い」
と、はやいつもの佐助に戻ったのが嬉しかったが、しかし、またそれももどかしくて、
「ま、そのようなことは後で。一刻も早うお逃げなさいませ」
「いや、逃げはせぬ。女人のそなたに助けられて逃げたとあっては、アバタ以上の恥でござる」
などと佐助は収まりかえっていたが、やがて随分と手間の掛ったのち、やっと牢を出ると、眠っている山賊の傍へ飛んで行き、やい起きろと蹴り起し、そして、おれは口にしまりがない、気障な駄洒落に淫し過ぎるという折角の牢獄の反省も、簡単に蹴り飛ばしてしまうとぺらぺらと怪しげな七五調で、
「折角の夢を破った横紙破り、腰も抜ければ腹も立とうが、せめてこの世のお別れに、一眼だけでもこの娑婆を、拝んで置けとの思いやり、寝呆けた奴は眼をこすり、南蛮渡来の豚でさえ、見れば反吐をば吐き散らす、この面妖なアバタ面、地獄の迎えの来るまでに、穴のあくほど見て置けば、あの世へ行ったその時に、娑婆の不思議はアバタ面、二目と見られぬものだったと、エンマ大王喜ばす、土産話になるだろう。