Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さるとびさすけ

猿飛佐助

織田 作之助

Leggi 猿飛佐助 (さるとびさすけ) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.413 caratteri · 60 schermate

Aozora Bunko

「やい、佐助、何を左様に急いでいるのじゃ」

と、空の声が三町四方に蚤の飛ぶ音も判る耳に降りて来た。

「おお、その天上よりのお声はまさしくおなつかしい戸沢先生!」

と、しかし走りながら、すがりつくような声を出すと、空の声も微笑を含んで、

「俺のこのしわがれ声が判るか」

「判らないで何と致しましょう、師の恩は海よりも高く、山よりも深……、おっと間違えました。山よりも高く、海よりも……」

「何をうろたえている。落着きなさい、見苦しい。走りながら口を利くからじゃ。だいいち師匠に口利くのに走りながらとは何事じゃ」

「はッ! 失礼しました。――ごらんの通り停まりました」

「汗を拭きなさい。アバタの穴からおびただしい汗の玉が飛び散っているわ。醜態じゃ」

「はッ! 只今!」

と、拭いていると、何故か師の優しさが身にしみて来て、涙が出そうになった故、あわてて、

「アバタのアの字は汗のアの字でござりますな。あはは……」

と笑いにまぎらした。

「くだらぬ洒落はよせ。だいたいお前は駄洒落が多すぎる。女のお洒落に男の駄洒落の過ぎたのは感心せぬて。士農工商師匠のこせついたのは見苦しいが、ことの序でに戒めて置くぞ。