Classici giapponesi con furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Leggi 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 174.521 caratteri · 344 schermate
その先住人は、牛車馬車をつらねて故郷なる岐阜へ引あげたところ、本郷にはまだ一発も着弾いたしませんが、あちらにはもうパラパラ。おどろいて居りますって。そうでしょう。この頃の人と住居とかくの如し、ね。寿江子の方もやや同じわけで、どこかへと思いますが、あのひとはもう当分あすこを動かないつもりのようです。今あの年ごろの女のひとは挺身隊召集をうけ、寿は、あちらならば、女学校の音楽の教師をすることが出来、生活的にも基礎が出来ていいらしいのです。どこにいたって、と目下のところ確く心をきめて居ります。経済事情も安定していないから、女学校にでもつとめて月給をとり、勤労報国隊の方も兼ねるというのが、あのひととしてはいい方法でしょう。
東京その他、そういう便宜のないところで工場働きはあの健康がもちますまい。大分丈夫にはなって居りますが。寿のこの頃の雰囲気は、何となし寂しい人(本人がそう感じているいないは別として、よそめにうける感じとして)のところがあって気になります。光沢がうせて。あのひとの光沢は、何と云ったってゆとりから丈のところがありましたから。今の家は電燈もないのよ、都会風の意味では障子もないのだって。