Classici giapponesi con furigana
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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
Leggi 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 374.755 caratteri · 745 schermate
リアクションがこれ又微妙な形であり得るのですから。ごく皮相な、当面の不便或はよくわからない迷惑感というものも作用し得るのですから。達ちゃんが、あなたを頼りになる兄として感じはじめたということは、達ちゃんがこれ迄にない辛苦や生死やに直面してからのことで、本気なものが出来て来ている証拠です。生活は何と複雑でしょう。これなど、私たち一家の面している時代的な生活の波の間から、ひろわれた一つの宝のようなものですね。決して架空にはなかったものです。
お母さんも二人いよいよ出しておやりになって、心配ではあるが希望も十分もっていらっしゃるから何よりです。きのうのかえりの汽車の中では、私も何とも云えない心持になって、もしやお母さん涙をおこぼしになりはしまいかと気づかいましたが、窓のところに肱をかけて、何か小声で歌をうたっていらっしゃいました、軍歌の切れを。そしたら私の方が、唇が震えて来るようでした。東京へ行ってあなたに会って来よう、そういうお気持、十分十分わかるでしょう? 写真でない生の息子の顔を見たい、その気持には深い深いものがあると思われます。おそらくは自分で説明や分析のお出来にならないほどのものが。