Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

Leggi 獄中への手紙 (ごくちゅうへのてがみ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 374.755 caratteri · 745 schermate

Aozora Bunko

ねえ、自分が可愛い女であることをのぞまない女が一人だってあるでしょうか。女のリディキュラスな面はそこから出ているとさえ云える位です。今日までの歴史のなかで、女が愛されることをもとめずに、愛して行くよろこびに生きようと覚悟のきまる迄にはどの位の悪戦苦闘がいることでしょうね。何故なら、女のなかにこれまでの歴史の跡はきつくつけられているのですから、やはり愛されたいという受身の望みが激しくあります。それにもかかわらず一方では、女の生活そのものが、その或ものをよりひろい世界に押し出していて、所謂手ごろな女の域はこえてしまっている。そういう場合、そういう歴史的な裂け目に立つ女は、いずれ、なみの女よりも情熱的であり或は意欲的なのだから、一層はげしく女としての愛の渇望をも自覚し、しかもその現実での姿に適合したものがなくて、もし彼女が真に勇気と人間らしさをもっているなら、終に一つの巨大な母性へまで自分の女性の諸感情をひろめてしまわなければ、まともに生きぬけられないでしょう。これは実に悲痛なる女性の羽搏きです。女の生涯の深刻なテーマです。これまでの何人かのチャンピオンたちは彼女たちのいろいろのよい資質にもかかわらず、この女の愛の転質の苦しい過程で挫折して居ります、松井スマ子にしろ。