Classici giapponesi con furigana
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ごくちゅうき
獄中記
大杉 栄
Leggi 獄中記 (ごくちゅうき) di 大杉 栄 (おおすぎさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.988 caratteri · 58 schermate
「伊藤の鬼婆あ、鬼婆あ、鬼婆あ!」
と声をからして怒鳴りつづけていた。看守の名と言っては、誰一人のも覚えていない今、この伊藤という名だけは今でもまだ僕の耳に響き渡って聞える。何でも、もう大ぶ年をとった、背の高い女だった。その時には、ちょうど僕も、雑巾桶を踏台にして女どもの通るのを眺めていた。
仲間のものにはごく人の好いこの強盗殺人君が、たった一度、紙幣偽造君を怒鳴りつけたことがある。偽造君は長い間満州地方で淫売屋をしていたのだそうだ。そしてそのたびたび変えた女房というのはみんな内地で身受けした芸者だったそうだ。偽造君はそれらの細君にもやはり商売をさせていたのだ。
「貴様はひどい奴だな、自分の女房に淫売をさせるなんて、この馬鹿ッ。」
と殺人君は運動場の真ん中で、恐ろしい勢いで偽造君に食ってかかった。それをようやくのことで僕と詐欺老人とで和めすかした。
「俺は強盗もした。火つけもした。人殺しもした。しかし自分の女房に淫売をさせるなぞという悪いことはしたことがない。君はそれでちっとも悪いとは思わんのか。気持が悪いことはないのか。」
ようやく静まった彼は、こんどはいつものように「君」