Classici giapponesi con furigana
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ごくちゅうき
獄中記
大杉 栄
Leggi 獄中記 (ごくちゅうき) di 大杉 栄 (おおすぎさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 28.988 caratteri · 58 schermate
小説なぞを読んでいて、何か御馳走の話が出かかって来れば、急いでページをはぐって、その話を飛ばしてしまう。とても読むには堪えないのだ。そうかと思うと、本を読んでいる時でも、何か考えている時にでも、またはぼんやりしている時でも、何でもないことがふと食物と連想される。
折々何か食う夢を見る。堺もよくその夢を見たそうだが、堺のはいつも山海の珍味といったような御馳走が現れて、いざ箸をとろうとすると何かの故障で食えなくなるのだそうだ。堺はひどくそれを残念がっていた。しかるに僕のは、しるこ屋の前を通る、いろんな色の餅菓子やあんころ餅などが店にならべてある、堪らなくなって飛びこむ、片っ端から平らげて行く、満腹どころかのどにまでもつめこんでうんうん苦しがる、というようなすこぶる下等な夢だ。そして妙なことには、苦しがって散々もがいたあげく、ふと眼をさますと腹工合が変だ。急いで便所へ行くと一瀉千里の勢いで跳ね飛ばす。そうでなくても翌朝起きてからきっと下痢をする。まるで嘘のような話だ。
しからば色欲の方はどうかと言うに、これまたすこぶる妙だ。先きの東京監獄や巣鴨監獄では時々妙な気も起きたが、ここへ来てからまるでそんなことがない。