Classici giapponesi con furigana
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たまとりものがたり
玉取物語
久生 十蘭
Leggi 玉取物語 (たまとりものがたり) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9495 caratteri · 19 schermate
山添も古医方家の流を汲むものであるから、六道絵には巨細に通じていたが、光長の思い忘れか執筆の手落か、ついぞこういう病相を見かけなかったので、一段と当惑したことであった。
山添は取敢えず塗薬を差上げ、宿々の泊で、罨方したり冷したり、思いつく限りの手当をぬかりなくやってみたが、ふぐり玉は一日ごとにふくれむくみ、掛川の宿では、とうとう雁の卵ほどに成上り、この先どれほど大きくなるかと思えば、心も身に添わぬほどであった。
式根島の大陰嚢というは、以前聞いたことがあった。高湿因循の海辺に起る風土の病で、足は描ける象の脚の如くに肥え、ふぐりは地に曳くようになるというが、これがそれとも思えぬから、山添は山添だけの智慧で、どうやら梅瘡の所以らしいと見込みをつけた。
天保以来、殿様も格落にて、銭の出る遊びを厭いたまい、下値の小格子で早乗打を遊ばされる。浜町河岸に御殿のある因幡のさる殿様、小石川の第六天に上邸のある阿波のさる殿様、それにこの殿様は三幅対といわれる締り屋で、その上いささか狡猾すく、深川へ遊びにお出のときは、芸者どもの祝儀を奉書紙に包んで恭しく水引を掛け、金何百疋と大々と書いたものを用意なされて一同に下される。