Classici giapponesi con furigana
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げんだいにんじゅつでん
現代忍術伝
Leggi 現代忍術伝 (げんだいにんじゅつでん) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 76.446 caratteri · 155 schermate
ツル子はニッコリ笑ったが、顔がほてって、あかかった。
「お父さん! ごめんなさい。そうお呼びしましたわね。三日間箱根で」
菊松は目をみはった。ああ、覚えている。はじめて見た時は、箱根へでかける朝だ。物も云わず、チョコレートをつめかえていた。宿屋では、彼にモーニングをきせてくれた。モーニングをぬぐ時はドテラをきせてくれるために、うしろに立っていた。そして、お父さんとよんだ。
だが、憎むべき天草商事の一味であることに変りはない。脱出に失敗して、ただ一人、とり押えられた悲しさを思いだす。忘れられない悲しさだった。そのとき、あの連中は、この娘も、後をも見ずに、彼を捨て、逃げてしまった。恨みの後姿が、目にしみているのだ。
ツル子は見つめられて、泣きそうになってしまった。
「すみませんでした。お恨みをうけるのが、当然ですわ。私たち、自分の功名にあせって、一人のお方に悲しい思いをかけることを忘れていました。それが地獄の責苦よりも悲しい苦痛だということを……」
「ツル子さん。よして! あなたは天使です。どうして、あなたが、悪いものですか。逃げおくれた正宗の運が悪るかったのです。