Classici giapponesi con furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Leggi 生々流転 (しょうじょうるてん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 297.521 caratteri · 586 schermate
ほんの序の口にこれだけ申上げて置きましょう。それから父は自分の幼ない時の身分に就てはどう考えていたかと申しますと、却って大ぴらに公表して得意になっていたとさえ申します。「俺の身元は巷のベッガーでね、」すると賢夫人も気さくに笑って「えゝ/\また落魄れたらいつでも二人でお菰を着て門に立ちますよ」。何の拘泥りもない夫妻の掛合い話は、その夫の立志美談を語るように聞こえて傍にいる者達の間の好評をさえ受けるのに充分でございました。
たゞ、わたくしの母だけは、父から面と向ってその話の出るのを極端に嫌いました。話の緒口だけでも聞くと母は真っ蒼になって怒りに慄えました。「止して下さい、貧乏くたい話は」それで流石の父も口を噤みました。
母は父が言うのを嫌う癖にわたくしに向ってはとき/″\自分の口からずば/\洩して罵るのでした。わたくしは母の罵る口から洩れ、また、しまから説明され、自分の血が乞食に繋りのあるのをしみ/″\悲しいと思いました。一方、何だか落着いて解き放された気持もありました。わたくしは小学校でも女学校でも科学や数学めいたことはとても成績がいいのです。けれども趣味性に係る学科、習字とか手芸とか図画とかはまるでゼロです。