Classici giapponesi con furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Leggi 生々流転 (しょうじょうるてん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 297.521 caratteri · 586 schermate
わたくしは葛岡に訊いてみました。
「ずっとこれがみんな赤城山なの」
すると、葛岡も辟易した色を見せまして、
「さ、そいつはちょっと返事に困るな――近くへ寄ったら、どこの山だって、裾野か平地か、界は判るまいじゃないか」
葛岡は内ポケットから懐中手帖を出しかけながら、
「しかし、とにかくこの山は、山のスロープの雄大なので有名だね」
朝日を受けたので黄味がかった薔薇色に明るんでいる正面の緩い傾斜の山腹を眼で登って行くと、こゝにまたかなりな高さまで森の木立、畠、村落などがあるのを、山霧の紗を通して見届けられるのでありました。ごく頂上のところにだけ無花果の熟み破れた尖のように、裸の峰や、裂目のある岩山が顕われております。
手帖の頁を繰り当てた葛岡は、頁の上とそれ等とを照し合せて、
「まん中に、向い合った峰を両方とも地蔵岳と言うんだね。それから右の外側にあるのが、荒山に鍋割山。左の外側に丘のような形をしているあれを鈴ヶ岳というね」
と説明しました。わたくしが、その手帖を覗きかけると、葛岡はちょっと引込めかけましたが、逆らってもつまらないと思ったらしく、
「なにね、このまえ来たとき、先生の部屋から僕がスケッチしたのへ、先生が名前を書き込んで呉れたんだよ」