Classici giapponesi con furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Leggi 生々流転 (しょうじょうるてん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 297.521 caratteri · 586 schermate
謎をこころの住家となし、この住家に於て太古の湖の静けさにも通ずるほどの憩いを希うわたくしに取って、感覚的にも外界への交通を遮断することは表戸を卸すと共に四方の窓の戸をも閉めるほどの細心緻密な心使いです。それをいまゆくりなく事情から強いられて致します。わたくしは歓んで唖になります。唖のそのわたくしを人々は人外の生物に扱って呉れるのみならず、わたくしは唖の無感覚に於て環境を風馬牛に眺め過せるのでした。嘗てあれほどわたくしの身にひし/\と食い入った諸行無常の小夜嵐も松の音とのみ上の空に聴き澄まして通し過せるのでした。
都を西南の方へさすらい出て、こゝの村外れにひと月、かしこの橋下にふた月と、わたくしは旧東京の市区と、大東京とは名のみの郡部とのすれ/\の境界線に沿うて、彼方に多那川の流れを心頼みにしながら南へ移って来たのでした。旧東京市区の繁華な町には既に乞食の縄張りやら、専門々々の貰いの掟があってうるさいまゝに、多くは田畑や雑木林のある郡部に住み、折を見ては町中へ紛れ入ります。野中の遊郭を中心に小さな町を形造っているT――町附近もこの条件に叶うのでわたくしは暫らくこの界隈に滞ります。