Classici giapponesi con furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Leggi 生々流転 (しょうじょうるてん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 297.521 caratteri · 586 schermate
わたくしはまた老人の文吉いじりが始まったと思いながら枝折戸の口を通して眺めています。
文吉は「いやになっちゃうなあ」と言いますが、何だか、してやらないのも気の毒な気がするらしく、気軽るに立上って、土を叩き固め、棒を片手で支える恰好をして身体に拍子をとって揺り動かしながら、粘土打ちの唄をうたうのでした。
坊さまよ、
お山の道は、
おけさが擦れるよ、
ほい。
彼の声は少し濁みていますが、ところ/″\に葉蘭の葉の縁のように慄えがあって、暖かく寂しくあります。老人は眼をまじ/\させて聞いていますが大きな眼から涙をぽろり/\と零します。老人の心にはこどもの時分から聞き慣れた唄によって、たぶん生涯この町の発展に尽して来た熱意が想い出されるらしくあります。
それから文吉が「したこらよいしょ」と掛声して、土手の土に棒を打ち下ろす振りをすると、「ほい、ほい」と合の手を入れます。
老いた眼からは涙はいよ/\ぽろり/\零れています。いつまで繰返していても老人は止めろと言いません。文吉は汗だらけになって、「もう、やだ」と言いました。
その間、老妻は眼鏡をかけて着物に霧を吹いて畳んでいますが、とき/″\唇を伸して眼鏡越しに二人の模様を眺めます。