Classici giapponesi con furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Leggi 生々流転 (しょうじょうるてん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 297.521 caratteri · 586 schermate
もとその劇場のある所は町の助役を勤めている脇百瀬の家の庭で四窓庵という茶室があったそうです。欧洲大戦時代の好況に脇百瀬の主人の新五郎は、この界隈に娯楽場が一つもないのに目をつけ貸席兼、色もの寄席を思い立ちました。そして、こういうことには何事でも力を借りなければならない新百瀬の繁司に相談しました。太腹の繁司は、いっそ株式組織にして活動でもレヴューでもやれる劇場にするさと勧めました。
広い前庭の一角が片付けられ、四窓庵は庭の他の側に移されました。水屋口に山椒の木が在りましたがあまりの老木なので葉は僅か許りしか出ませんでした。山椒はこの土地では植替えて枯らしでもすると縁起が悪いと言う慣わしで、移さずそのまゝにして劇場は建てられました。山椒は楽屋裏の羽目外に当って残されました。誰もそんなことは忘れてしまって、その傍に大塵芥溜なぞ据えました。
花田は山椒の木のところへ行ってみて「おや」といって驚きました。新芽はもうきれいに摘まれていました。食いものが思うようにならないと気狂いのようになって怒る花田は憤慨のあまり塵芥箱の脇腹をいやというほどゴム靴で蹴りつけました。