Classici giapponesi con furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Leggi 生々流転 (しょうじょうるてん) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 297.521 caratteri · 586 schermate
「この小僧、見どころがあるぞ。おやじ、この小僧を俺の家へ置いて行け」
発明乞食の父親は眼を放心したように瞠っていましたが、やがて雑嚢の中から子供の巾着を取り出し窓框の上へ置き、億劫そうに一つお辞儀をすると立去りました。この親乞食の行衛はその後まったく知れません。巾着の中には戸籍抄本と子供の臍の緒が入っていました。
子供の蝶造は利発に育ちました。豊島家の玄関番から給費生、大学の秀才、天下の豊島の眼がねに叶って娘の婿、大学教授、まずとん/\拍子でございましたでしょうか。豊島が乞食の子でも婿にするところに彼の肚の大きさがあり、褒めるもの、くさす者、相半ばしましたがその範囲も広くなく、やがて少数の人の外、蝶造の身分に就ての記憶も残りませんでした。
豊島家には元来、姉と弟とありまして、弟が相続人です。で娘は婿につけて目黒の別邸の方へ家を持たせられました。この姉娘の婿――すなわち蝶造がわたくしの父だったのでございました。
父はこの結婚に満足したのでしょうか。しまに言わせると満足していたと言います。なにしろ淑かで底がしっかりもので恵み深い夫人だったそうですから。