Classici giapponesi con furigana
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うまれいずるなやみ
生まれいずる悩み
有島 武郎
Leggi 生まれいずる悩み (うまれいずるなやみ) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 50.587 caratteri · 100 schermate
白波がかすかな潮の香と音とをたてて、その足もとに行っては消え、行っては消えするのが見え渡る。
帆がおろされた。船は海岸近くの波に激しく動揺しながら、艫を海岸のほうに向けかえてだんだんと汀に近寄って行く。海産物会社の印袢天を着たり、犬の皮か何かを裏につけた外套を深々と羽織ったりした男たちが、右往左往に走りまわるそのあたりを目がけて、君の兄上が手慣れたさばきでさっと艫綱を投げると、それがすぐ幾十人もの男女の手で引っぱられる。船はしきりと上下する舳に波のしぶきを食いながら、どんどん砂浜に近寄って、やがて疲れ切った魚のように黒く横たわって動かなくなる。
漁夫たちは艪や舵や帆の始末を簡単にしてしまうと、舷を伝わって陸におどり上がる。海産物製造会社の人夫たちは、漁夫たちと入れ替わって、船の中に猿のように飛び込んで行く。そしてまだ死に切らない鱈の尾をつかんで、礫のように砂の上にほうり出す。浜に待ち構えている男たちは、目にもとまらない早わざで数を数えながら、魚を畚の中にたたき込む。漁夫たちは吉例のように会社の数取り人に対して何かと故障を言いたててわめく。一日ひっそりかんとしていた浜も、このしばらくの間だけは、さすがににぎやかな気分になる。