Classici giapponesi con furigana
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うまれいずるなやみ
生まれいずる悩み
有島 武郎
Leggi 生まれいずる悩み (うまれいずるなやみ) di 有島 武郎 (ありしまたけお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 50.587 caratteri · 100 schermate
「私は言わねえ」
「そうだべさ。それならそれでいいでねえか。わけのわかんねえやつさなんとでも言わせておけばいいだ。これを見たか」
「見たよ。‥‥荘園の裏から見た所だなあそれは。山はわし気に入ったども、雲が黒すぎるでねえか」
「さし出口はおけやい」
そして君たち二人は顔を見合って溶けるように笑みかわす。寒さはしんしんと背骨まで徹って、戸外には風の落ちた空を黙って雪が降り積んでいるらしい。
今度は君が発意する。
「おい寝べえ」
「兄さん先に寝なよ」
「お前寝べし‥‥あしたまた一番に起きるだから‥‥戸締まりはおらがするに」
二人はわざと意趣に争ってから、妹はとうとう先に寝る事にする。君はなお半時間ほどスケッチに見入っていたが、寒さにこらえ切れなくなってやがて身を起こすと、藁草履を引っかけて土間に降り立ち、竈の火もとを充分に見届け、漁具の整頓を一わたり注意し、入り口の戸に錠前をおろし、雪の吹きこまぬよう窓のすきまをしっかりと閉じ、そしてまた囲炉裏座に帰って見ると、ちょろちょろと燃えかすれた根粗朶の火におぼろに照らされて、君の父上と妹とが炉縁の二方に寝くるまっているのが物さびしくながめられる。