Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

Leggi 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 91.598 caratteri · 182 schermate

Aozora Bunko

この二人はどうやら連れと見えて、二言三言囁いたかと思うと、打ち揃って奥の部屋へ通って行った。

その後でも幾組か泊まり客があったが、特に目立つような客はなかった。

全く日が暮れて夜となった。

「お泊まりなさいまし」「柏屋でございます」「へいへいこれはお早いお着きで」――などと云っていた出女の声も、封ぜられたようになくなって、萩村の駅は寂静となった。

こうして夜が次第に更け、柏屋でも門へ閂を差した。客も家の者も寝についたらしい。

で、何事もなさそうであった。

では何事も起こらなかったか?

いやいや変わった事件が起こった。

奥に一つの部屋があったが、消えていた行燈が不意に点り、ぽっと明るく部屋を照らした。

見れば一人の老武士が、床から起きて行燈の側に、膝を揃えて坐っている。

老武士は?

二番目に着いた駕籠の中から、立ち現われた老武士であった。

何やら口の中で呟いたかと思うと、老武士は部屋の中を見廻した。と、にわかに立ち上った。それからそっと襖をあけて、隣り部屋の様子を窺った。

「隣り部屋には客がない」

で、安心したようであった。が、再びそろそろと歩いて、反対側の襖へ行くと、細目に開けて覗いて見た。