Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

Leggi 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 91.598 caratteri · 182 schermate

Aozora Bunko

……あのお方があんな所におられようとは。いやいやこれは当然かも知れない。……あのお方はああいうお方なのだから。……不正な所へも現われるし、正しい所へも現われる。貧しい所へも現われれば、富んだところへも現われる。そうして「状態」をひっくり返す)

露路口で立ち止まった碩寿翁は、こう考えて戦慄したが、そういう恐怖よりもさらに一層の、好奇心が胸へ湧き上った。で、手に持っていた包み物の、包みをグルグルと解きほぐし、現われた蒔絵の箱の蓋を、月に向かってパッと取った。と一道の鯖色の光が、月の光を奪うばかりに、燦然としてほとばしり出たが、ほんの一瞬間に消えてしまった。碩寿翁が箱の蓋を冠せたからである。

「おおこの光に比べては、名誉も身分も、財産も生命さえも劣って見える。……あれだ! たしかに! 探していたあれだ!」

感動が著しかったためなのであろう、碩寿翁はガタガタと顫え出した。

が、その次の瞬間に、碩寿翁を驚かせたものがあった。一本の腕が背後から延びて、蒔絵の箱を掴んだからである。

とたんに活然と音がして、白い物が月光に躍り上り、すぐに地に落ちてころがった。

抜き討ちに切りつけた碩寿翁の太刀に、御幣の柄が真ん中から二つに切られ、その先が躍り上って落ちたのであった。