Classici giapponesi con furigana
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たはらしのはんざい
田原氏の犯罪
豊島 与志雄
Leggi 田原氏の犯罪 (たはらしのはんざい) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 27.957 caratteri · 57 schermate
二人共執拗に黙り込んでいた。また何かが起ったのに違いなかった。恐らく父は酒の無いのを幼いみよ子に怒鳴りつけたのであろう。そして酒に酔っていない彼は、自分と自分の言葉に不快になって、黙り込んでしまったのであろう。
良助は思い切って家の中にはいった。
「おや兄さんが……。」そうみよ子は大きい声を出してすぐに立って来た。
「なに良助か。」
徳蔵はそう云って腰を立てようとしたが、またどかりと坐り込んでしまった。そして急に睥めるような眼附をしながら云った。
「上れよ。」
其処に学校の包みを置いてきちんと膝を折った良助の姿を、徳蔵はじろじろ見やった。
「どうしたんだ。」と彼はまた云った。良助が来たことは彼には全く意外であったらしい。
良助は黙って懐から金の封筒を取り出して父の前に置いた。
「旦那様からこれを父さんにやってくれと云われたから、学校の途中に一寸寄ったんだよ。」
徳蔵は封筒を取り上げて中を披いてみた。中には一円紙幣が五枚はいっていた。彼はそれを見ると口をぼんやりうち開いたまま、じっと良助の顔を見つめた。
「それはね、」と良助は云った、「旦那様が僕に下すったんだよ。