Classici giapponesi con furigana
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いなかもの
田舎者
豊島 与志雄
Leggi 田舎者 (いなかもの) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.181 caratteri · 26 schermate
岸本は何事かと思って、寺田菊子さんのことはそのままに、口を噤んでいると、やがて出て来た奥さんが、依田氏に似ずばかに小柄なひとで、細っそりした胸に帯がふくらんで目立って、少し険のある高い鼻の顔をつんとすましてるのだった。依田氏はすぐ岸本を紹介して、笑いながら云うのだった。
「あの寺井さんね、あれが、岸本の初恋の人だそうだよ。」
「まあ。」
奥さんは呆れたように岸本をじろじろ眺め初めた。岸本の方で呆れ返った。何をそんなに笑ったり呆れたりすることがあるのか、腑におちなくて、弁解する気にもなれなかった。「東京の人」はものずきな閑人が多いと聞いていたが、この人たちもそうかしら、などと考えるだけの余裕がもてて、逆にこちらから二人の様子を窺ってやるのだった。それが、さすがに女だけに敏感で、奥さんの方には反映したのであろう。やさしい笑顔をして、いろいろ尋ねてくるので、岸本も仕方なしに受け答えをしてるうちに、事情が自然にうき出して、初恋というほどのものでなかったことも分り、寺井菊子さんは良人に死に別れて、不仕合せのうちに健気にも、小さなバーを経営して奮闘してる由も分ったのだった。